海岸
1990年頃

 こんな夢を見た

	海の近く
	暗い空
	巨大な洞穴がある
	人々が泳いでいる
	荒れているのに

	突然、洞窟から恐ろしい勢いで海水があふれ、渦を巻きながら
	砂浜にいた人々をもみくちゃにしてさらっていく
	この辺では定期的に洪水があるのだ

	洞穴に耳をすます
	かすかに ごー と音がする
	私はあわてて高台へ逃げる
	またそこから水があふれ、岩にあたって砕け散る
	 (それが高いところにいる私にさえ届きそうで恐ろしい)

	それでも私たちは降りていき洞穴に入ろうとする
	なぜなら出口がそこしかないからだ
	海岸は切り立った崖
	水は穴以外からも押し寄せてきて狭い海岸をめちゃめちゃにする

	やがてそれが規則的にやってくることに気づく
	洞穴は巨大な化け物の腸なのだ
	化け物の食事時になると水がやってくるらしい

	夜になる
	火をたいて助けを呼ぶ
	一艘の船がやってきた
	しかしまた海水が押し寄せて船をばらばらにしてしまう

	だが化け物の眠りとともに水はやってこなくなる
	私たちは町に逃げる
	夜明けとともに大洪水が運河をつたってやってくる
	町は水浸しになるが、
	人々はいつものことだと笑っているのだ

	ぼくは家の前にとめてあった自転車をさらわれてしまった
	ぼくははだしで自転車をさがしにでかける

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