床屋さんで散髪台に座るとまず聞かれる 「どれぐらいにします?」 ぼくはいまだに 自分の髪型への注文を言うのが恥ずかしくてたまらない。 男のくせにオシャレを気にしていると思われたくないから? いや、ブ男のくせに、髪型なんか気にしてると思われたくないから? (それはつまり自分に自信がないから?) あるいはプロである床屋さんにお任せするのがスジで、 素人のくせに注文なんかつけて床屋さんの機嫌を損ねるのが 本当は怖いから? なんか変な髪型になってしまったと自分では思っても これは自分の頭の形が変だからしょうがないとか 耳が大きくてアンバランスだからまずいんだとか そもそも美容院じゃないんだから 美意識など求めるべきじゃないんだとか 思って納得して帰ってしまう いや やはり床屋さんの仕事にケチをつけて 床屋さんのプライドを傷つけるのが 本当は怖いんじゃ? コンビニの鏡や 夜の電車の車窓や つるつるした壁面があると 思わず自分の姿をそれに映して見てしまう 自分がかっこいいか? 鏡をみるのは自分に自信がないからだ 自信があれば鏡なんてみる必要はない