昔、ある人が僕に言った 「悩み」ではない、「絶望」だ と この一ヶ月間、ろくに会社に行っていない 嘔吐 微熱 「あれ」の恐怖が蘇り、心臓がどくどく鳴る 唾が飲み込めない 飲み込むと一緒に空気を飲み込んでしまい それが胃をいっぱいにして嘔吐するのではないか 下着をめくって傷だらけのおなかを見てみる ちょっと張っているような気がする 蠕動運動がないような気がする しばらくガスもでてないような気がする そう意識し出すともう駄目だ 一月前、本当に吐いてしまった そのときはうつ伏せ寝をしたら腸が動き出して治ったような気がした でも一年前のように血は見ていないので 今回は救急車は呼ばなかった もちろん病院に行った X線検査では腸閉塞ではないという 血液検査でも問題なし 薬は増えたが、症状はすっきりしない 外出すると、街を歩いていても、自転車に乗っていても、 突然、生唾がこみ上げてくる 吐きそうになって心臓が鳴り出す 持ち歩いているポケットティッシュに唾を吐き出して少し良くなった気になる 何度も、何度も、何度も でも、へんだ 逆なのかもしれない 吐きそうになるから恐怖を覚えるのではなく 恐怖を感じるから吐き気を覚えるのではないのか 家にいるときは平気なことが多いのもそのせいではないのか 恐怖? 不安? なにへの? 「漠然とした不安」? 冗談じゃない この俺様が不安で外出もできないだと!? しかし近代科学は精神すらも脳の機能のひとつに過ぎないことを明らかにし 脳の機能不全は「薬」という道具で修理可能なのだ 精神科に行ってみた 「薬」はなかなか効いた ような気がした 手術前に飲まされる薬に似ている感じ ちょっと眠くなるような、酔ったときのような でも、すぐに1錠では足りなくなり、2錠飲まないと収まらないようになった 芥川龍之介じゃないんだから 不安の源は明らかだ あれがもう一度起きることへの不安 自分で勝手に演じて勝手に怖がっている うそをつけ それだけでないだろ 閉塞感 未来への閉塞感 それがあの閉塞を思い起こさせるのか すぐあそこに見えているのに 時間が無い なのに可能性の枝はどんどん切り払われて 狭まっていく 細くなっていく インターネットからの情報の奔流 一方的で圧倒的な情報入力 嘔吐したくなるほどの 何千万、何億もの人々が暴徒のように、残されたフロンティアをなぎ払っていく 指数関数的な速度で可能性の金鉱脈は掘り尽くされていく それをただ、呆然と眺めているしかできない 約60億分の1 自分は約60兆の細胞からなり 人類は約60億からなり 地球は約2000億の恒星からなる銀河の一員で 銀河は全宇宙の中に存在する1000億を超える銀河のひとつに過ぎない 自分が生きてきた時間はこの宇宙の年齢の約4億分の1に過ぎず 隣のM31銀河の光すらもその8万倍の時間を旅してきている ちいさい 小さすぎる 部屋に落ちている塵の一片ですらない これじゃ見えない ゴミとしてさえ認識不可能だ カゲロウや大腸菌だってもっと長生きする 宇宙の年齢に比べれば、人類全体の歴史すら300万分の1に過ぎない 人類がいま発見、発明していると思っている科学や技術は 宇宙全体から見ても最初のものであると言えるのか 誰かが数十億年前に発見したものの再発見、再発明に過ぎないのではないのか いま自分が世界で始めて思いついたと思った考え しかしインターネットでちょっと検索してみれば、 すぐに同様のアイデアが先人によって実現されてしまっていることがわかる ましてやそれが全宇宙的に見ても独創的であること その可能性はあまりにも 絶望的なまでに ちいさい 人類は宇宙に対しどれほどの貢献ができるというのか 全ての問題が解決しつくされることはありえないという ゲーデルの不完全性定理ですら何の救いにもならないほどの格差 多様性に賭けるしかない 宇宙にも多様性が必要であるはずだ 科学的真理はひとつしかないかもしれない しかし同じその真理にたどり着いたとしても 別の道をたどった生命体は別の選択をするかもしれない 科学的真理はひとつでも、運命は選択できるはずだ あるいは我々は自分自身の芸術に籠もるしかないのかもしれない 音楽、絵画、演劇、詩、小説、映画 それらが地球以外の種に理解できるとは考えにくい 自分たちの脳の反応に合わせて作り出してきた 感情制御装置 他の星の脳は、まったく違う反応をしてしまうかもしれない それらは我々だけのもの 我々以外には理解できないからこそ 宇宙でただ一つの独創的発明 十年前となにも変わっていない なにも変えられなかった なにもしないまま 枯れていく 枯れてしまう 情報の収支のアンバランス 圧倒的入力過多 無駄な出力がポチポチ このページのことか 自ら招いた情報的不自由 自分の中の多様性が枯れ 思考方法が硬直する なんども同じことばかり書いてる気がする しかも質が落ちている 逃げる テレビとかゲームとかラジオとか 逃げている間は忘れられる みっとも恥ずかしい 普通の大人ならとっくにあきらめているものを ガキのようにわがままに あきらめきれずにダダをこねている モガいているならまだまし そうするまえに逃げだして、にも関わらずグズっている 最低だね こんな自虐的なことでも書かないと もうどうでも良くなってしまう 文学的にも哲学的にも科学的にも独創的でもなければ衝撃的でもない こんなくだらないことをぐだぐだ書いてるのは 自分の中に淀みきった汚いものを 文章を吐き出す 吐いて吐いて みんなに見てもらう それで自分が楽になるなら それで読んだヒトに自分の不安をあげてしまいたいから それがこのページ ごめんなさい